公益財団法人テクノエイド協会・平成30年度 障害者自立支援機器導入好事例普及事業にて、好事例賞をいただきました。
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コンテンツを自由に追加できるコミュニケーションアプリ
「指伝話」は、iPad/iPhoneで使用するコミュニケーションアプリです。病気・障害の種類や程度を限定せず、誰にでも親しんで楽しく使っていただけるようにiPadを採用したことと、コミュニケーションコンテンツを自由に簡単に追加することができることが特徴です。さらに、機器を使うことが目的ではなく、それを使って何をするかを第一に考えられるよう、コンテンツに重きをおいた製品です。
コミュニケーション障害といっても、構音障害のSpeechの障害と、失語症などのLanguageの障害では大きく異なります。指伝話はそれら両方の障害に対応するコンテンツの作成が可能です。また、肢体不自由の方はスイッチによる操作が可能です。その際にスイッチ操作に適したインタフェースになっています。また、緘黙・吃音・自閉症の方の話しづらさをサポートする目的にも使っていただいています。
当事者だけでなく、家族や支援者にとっても使いやすい身近なものなので、導入がスムーズであるだけでなく、専門の訓練なしに使える容易さと親しみやすさは、これまでコミュニケーションを諦めてしまっていた方たちへの新たな機会の提供につながっています。
iPad/iPhoneを使うことで拡張性は最大限にスイッチによる操作にも対応
喉頭癌などで自分の声を失った方たちの代替音声を提供するだけでなく、ALSや筋ジストロフィーなど身体の動きが制限されている方たちにも使っていただけるように、スイッチ操作によるインタフェースも提供しています。
iPad/iPhoneを採用することで、目の前にいる人との会話だけでなく、遠隔にいる人へSMSやメールを送る、テレビ電話をする、文章を書いて後で伝える、講演や学会発表をするといったニーズももっています。さらにスマート家電と組み合わせることで、テレビや電灯の操作、カーテンやドアの開閉といった日常生活の動作も同じように行うことが可能になるのです。
本製品は、例え指先がほんの数ミリしか動かない状態でもカードの選択だけで実現する仕組みと、それらを自分で作り拡張できる仕組みの両方を兼ね備えています。
カンファレンスでは、難病患者ら5人が「指伝話」だけで発表した実績も
プラットフォームにiPad/iPhoneを採用した理由は2つあります。まずは大人から子どもまで直感的に操作できること。実用的なサンプルも提供し、コンテンツの更新もダウンロードで対応しています。
そしてサポートがしやすいこと。遠隔地の現場で担当STが訪問先に導入した際に操作がわからずお問い合わせいただいても、電話で解決でき安心して使っていただいています。
2018年8月開催のリハ工学カンファレンスでは、当事者発表をした難病患者ら5名が、本製品の音声だけで発表をしました。親指が数ミリだけ動く人が自分の意思を自分で伝え、これから働きたいと訴えたことは、従来の用件を伝えるだけの会話ではなく、真のコミュニケーションが実現されていることを証明しています。
機械ではなく機会に注目したアプリの余白
利用者(子どもの場合は保護者)からは、「声の質が格段に良い」「使う人の様子を見ながら少しずつ工夫できて便利」「細かいところまで配慮された機能が搭載されている」「バージョンアップで使いやすい機能が追加されるのが良い」とお褒め頂いています。それは、使用目的を限定せずに「アプリの余白」と呼ばれる自由度の高さを大切にしているからと思います。単なる音声会話機能の代替ではなく、コミュニケーションのきっかけを提供することを第一に考えました。多くの方のQOLが向上し笑顔が広がることを願っています。