(2019年12月)
目次
はじめに
必要なもの
スイッチコントロールの初期設定
スイッチの登録
項目モード
ポイントモード
はじめに
初めてiPadをスイッチで操作する体験するための手順です。スイッチコントロールの基本設定と、項目モードとポイントモードの体験を行う手順をご説明します。
iPadのスイッチ操作は、さまざまな方法があり、細かな設定や調整が可能です。適した設定は身体の状態やスイッチの特性、設置や設定によって決まります。ここでの説明は、最初の一歩の一例ですが、スイッチ利用の基本的な内容をご理解頂けると思います。
基本をご理解頂ければ、その先の細かな調整についても簡単にご理解頂けるようになりますが、闇雲に設定を変更していると混乱の渦にはまってしまいます。最初は焦らず、以下の説明の通りに試してみてください。
それでも「あぁスイッチコントロールって難しそう。みんなに理解してもらうのは大変だぁ。」と思ってしまう人もいるかもしれません。一度知ってしまえば実はそう難しいものではありません。機能が豊富なので難しく感じるだけです。
また、スイッチコントロールを使わないで、スイッチをつなげてすぐに使える方法もあります。ただしそれは、設定済みの指伝話メモリと変わる君を使う場合、指伝話文字盤と変わる君を使う場合です。これについては別途ご説明します。最初は「スイッチコントロール」というiPadやiPhoneのスイッチを使うための標準機能を使った方法で説明します。最初の一歩は一例です。ここから始めれば、きっと使いやすいスイッチ操作が見つかります。
個々の詳しい説明は、別途資料がありますのでご参照ください。
なお、ここでの説明は、iOS 12を使って行います。
必要なもの
iPad
iOS/iPadOS 12か13が使えるものが良いです。
スイッチコントロールは、iOS 11で大きく改良されましたが、iOS 12になり使い勝手がかなり向上しました。
指伝話RT(無料アプリ)
スイッチコントロールを使えば、多くのアプリを使うことができますが、最初にどんな感じかを体験するには、わかりやすい画面になっています。まずはシンプルにできることを体験してください。
スイッチを接続するデバイス
スイッチを直接iPadに接続できませんので、「スイッチ接続キット」のような接続のためのデバイスが必要になります。
接続用デバイスは各社から発売されていますが、「スイッチ接続キット」をお勧めします。特に1スイッチでの操作を行うのであれば、様々な設定ができる「スイッチ接続キット」と指伝話メモリの組み合わせは、より多くのことが簡単にできるので人気があります。
スイッチ
3.5mmミニピンジャックを持つスイッチであれば、大抵接続可能です。
ここでの最初の説明は、1つのスイッチで1つのアクションを行うものとして説明をします。
スイッチコントロールの初期設定
スイッチコントロールは、細かな設定が可能で、少しの設定の違いで使い勝手が大きく変わります。ここでの説明を続けていくにあたって、設定に違いがないように、最初の設定を一度同じものにしておきます。
次の手順で初期設定をしてから始めてください。
スイッチコントロールのオン・オフは設定画面で行いますが、ショートカットを使ってキー操作で行うことができます。また、iOS 12からはコントロールセンターから行うことができるようになりました。
ショートカットの設定
ショートカットの操作は、ホームボタンがある機種では [ホームボタンのトリプルクリック] 、ホームボタンがない機種では [サイドボタンのトリプルクリック] です。
1)[設定] アプリを開きます。
2)[一般] > [アクセシビリティ] > [ショートカット] を開きます。
3)ショートカットで操作する機能にチェックを入れます。ここでは [スイッチコントロール] にチェックを入れます。
コントロールセンターの設定
iOS 12からはコントロールセンターにアクセシビリティのショートカットのアイコンを表示す ることができるようになりました。コントロールセンターは、画面の右上から斜め下に向かってスワイプする操作で表示することができます。
1)[設定] アプリを開きます。
2)[一般] > [コントロールセンター] > [コントロールセンターをカスタマイズ] を開きます。
3)[アクセシビリティのショートカット] の前にある 緑色の+マーク をタップし、上の段 [含める] に加えます。
スイッチコントロールの設定
1)[ハイライトのスイタイル] を [単一スイッチステップハイライト] にする。
番号 | 項目 | 操作 |
1-1 | 滞留時間 | [1.8秒] に設定する。 |
1-2 | 自動的に非表示 | 一旦 [オン] にして、[5秒] に設定してから、[オフ] にする。 |
1-3 | 移動の繰り返し | 一旦 [オン] にして、[0.6秒] に設定してから、[オフ] にする。 |
1-4 | 長押し | 一旦 [オン] にして、[0.6秒]、ハイライトを一時停止を [オン] にしてから、長押しを [オフ] にする。 |
2)[ハイライトのスイタイル] を [手動] にする。
番号 | 項目 | 操作 |
2-1 | タップの動作 | [自動タップ] にして、[1.2秒] に設定する。 |
2-2 | タップしたあとにフォーカスされる項目 | [現在の項目] に設定する。 |
3)[ハイライトのスイタイル] を [自動] にする。
番号 | 項目 | 操作 |
3-1 | 自動ハイライトの時間 | [1.8秒] に設定する。 |
3-2 | 最初の項目で一時停止 | [オン] にして、[0.5秒] に設定する。 |
3-3 | 繰り返し | [2] に設定する。 |
4)その他の設定
番号 | 項目 | 操作 |
4-1 | スイッチ | 登録されているスイッチの設定を削除する。 |
4-2 | レシピ | 登録されているレシピを削除する。 |
4-3 | キーボードの項目 | タップ後に同じキーをスキャン を [オフ] にする。
キーボードのキーを常にタップ を [オフ] にする。 拡張予測変換 を [オフ] にする。 |
4-4 | スイッチ安定化の項目 | 保持継続時間 を [オフ] にする。
繰り返しを無視 を [オフ] にする。 |
4-5 | ポイントハイライト | 選択モードを [シングル] に設定する。
グライドカーソルの速度を [30] に設定する。 |
4-6 | 効果音 | [オフ] にする。 |
4-7 | 読み上げ | [オフ] にする。 |
4-8 | メニュー項目
最上位レベル |
一旦 [すべての項目を表示] にし、続けて [すべての項目を非表示] にする。(全部チェックなしになる。) |
4-11 | 項目をグループ化 | オフ にする。 |
4-12 | 大きいカーソルを使用 | オン にする。 |
4-13 | カーソルの色 | ブルー に設定する。 |
競合する機能を一旦オフにする
1)[設定] > [一般] > [アクセシビリティ] を開き、視覚サポートの次の項目を [オフ] にする。
VoiceOver
ズーム機能
スピーチ
2)[設定] > [一般] > [アクセシビリティ] を開き、次の機能を [オフ] にする。
AssistiveTouch
タッチ調整
3)[設定] > [一般] > [アクセシビリティ] > [キーボード] を開き、次の機能を [オフ] にする。
キーのリピート
複合キー
スローキー
4)[設定] > [一般] > [アクセシビリティ] > [アクセスガイド] を [オフ] にする。
スイッチの登録
1)スイッチとiPadを接続します。
スイッチとiPad本体とは、直接ケーブル接続することができません。有線または無線で接続します。その方法に関しては「指伝話を使いながら覚える iOSスイッチコントロール 1-2-3! 接続編」をご参照ください。
スイッチ接続キットをお使いの場合は、変わる君の設定によって動作が異なります。貸出機をお使いの場合は、ここでは「ジャック2」に接続してください。
2)[設定] アプリを開き、[一般] > [アクセシビリティ] > [スイッチコントロール] を開きます。
※以下この操作は「スイッチコントロールの設定を開きます」と表記します。
3)[スイッチ] をタップします。
4)[新しいスイッチを追加…] をタップします。
5)[外部] をタップします。
ちなみに、[画面] とはiPadの画面全体をスイッチとして使う方法です。画面のどこをタップしてもスイッチを押したことになります。外部スイッチを接続しなくてもiPadの画面をタッチセンサースイッチとして使えるのは魅力です。ただし、画面の項目を直接タップしようとしてもそのタップはスイッチを押したとみなされるようになるので注意が必要です。
iPadに外部モニタをつけてそれをみながら、手元のiPadはスイッチとして使うといった使い方ができます。
[カメラ] は内蔵カメラをスイッチとして使う方法です。顔を左右に動かす動作をスイッチとして認識させる方法です。正直なところ、この原稿を執筆中にこの機能を有効に使うアイデアはありません。顔の動きが小さいと認識されず、大きくすると首が痛くなります。外部スイッチを使って操作する方が実用的と現時点では考えています。
6)外部スイッチのアクティベート(使用開始を宣言する)を求められるので、接続しているスイッチを1度操作します。
7)スイッチの名称を登録するダイアログが表示されます。何も入れなければ薄いグレーで表示されている名称で登録されます。名前に「ジャック2」などと識別できる名前を入力し [保存] をタップします。
8)いま設定をしたスイッチのアクションを割り当てる画面が表示されるので、[項目を選択] をタップします。
9)1つ前の画面に戻った表示になります。[項目を選択] のアクションが登録されているスイッチが登録されていることを確認し、もう1つ上の階層に戻ります。
10)スイッチの欄に [1] と表示され、スイッチが登録されたことが確認できます。
以上でスイッチの登録は完了です。
項目モード
1. 準備
先に指伝話RTを開き、会話セット の おしゃべり を開いておきます。
2. スイッチコントロールをオン
(1)コントロールセンターでアクセシビリティのショートカットを選択し、スイッチコントロールを開くか、(2)ホームボタン(または電源ボタン)を3回押して、スイッチコントロールを開始します。
すると、カーソルが自動的に順番に進みます。
3. 操作する
カーソルが青くなっていてタップしたいところで、スイッチを押します。その場所がタップされ音声が流れます。
速度の調整
カーソルが動く速度を変更するには、[設定]アプリのスイッチコントロールの設定で行います。
スイッチコントロール > 自動ハイライトの時間
次の映像は、速度を5秒に設定した場合です。
ポイントモード
1. 準備
項目モードからポイントモードへの切り替えは、ハイライトメニューで行います。いまはハイライトメニューを表示しないようにしていたので、まずはハイライトメニューを表示し、ポイントモードへ切り替えて、再びハイライトメニューを表示しないように設定する手順で進めます。
スイッチコントロールをオフにする
一旦、スイッチコントロールをオフにします。
スイッチコントロールの設定を変更する
スイッチコントロールの設定を開きます。
スイッチコントロール > メニュー項目 > 最上位レベル
[項目/ポイントモード] をオンにします(iOS 13では[カーソルモード])。
指伝話RTを開く
指伝話RTを開いて、先ほどの会話セットの表示にします。
スイッチコントロールをオンにする
再び、スイッチコントロールをオンにします。
設定を変更
スイッチいずれかの項目をスイッチで選択すると、項目が青くなります。青く光っているうちに再度スイッチを押すとハイライトメニューが表示されます。[ポイントモード]が選択されている時にスイッチを押すと、ポイントモードに切り替わります。
スイッチコントロールの設定を変更する
スイッチコントロールの設定を開きます。
スイッチコントロール > メニュー項目 > 最上位レベル
[項目/ポイントモード] をオフにします(iOS 13では[カーソルモード])。
速度の調整
カーソルが動く速度を変更するには、[設定]アプリのスイッチコントロールの設定で行います。
スイッチコントロール > グライドカーソルの速度(iOS13では グライドカーソル > グライドカーソルの速度)
次の映像は、速度を30から10に変更した場合です。
再び項目モードに戻すには、再度メニュー項目に [項目/ポイントモード] を表示する設定にして同様の手順で行います。
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