はじめに

  待望の iOS 12 がリリースとなりました!
 この説明書は、指伝話ユーザも多く利用しているスイッチコントロールの機能を中心に、iOS 12で新しくなった機能を知り、より便利に使える可能性を知っていただくために作成しました。
 iOSのアクセシビリティの公式ガイドはありません。日頃使っている機能を中心に確認をした内容ですから漏れがあるかもしれません。どうぞお気付きのことがありましたらお知らせください。
 この資料は、iOS 12.0(16A366)をベースに作成しました。

 なお、このページの情報は、PDFでもご覧いただくことができます。

 

注目の新機能

ポイントモードに「シングル」が追加
 スイッチコントロールの使い方を大きく変えることになるかもしれません。
 従来のポイントモードでは、タップする位置を指定するためには、横軸の決定に2回と縦軸の決定に2回、合計4回のスイッチ操作が必要でした。新しい「シングル」モードでは、縦横それぞれ1回となるので、操作回数が減りますし、操作時間が短くなります。
 これまで五十音表から文字を選択する場合、ポイントモードでの選択はスイッチ操作回数が多く時間がかかるので敬遠する人もいましたが、これからは項目モードでの選択よりも速く便利になります。
 項目モードとポイントモードの切り替えは、ハイライトメニューで行うことができますので、普段の操作は項目モードで行い、文字入力はポイントモードで行う、という方法を好む方がでてくるかもしれません。是非一度、お試しください。

 
ハイライトメニューからSiriのショートカットを呼び出す
 Siriのショートカットは iOS 12の新機能です。アプリの一連の操作を記憶しSiriの音声コマンドで使うことができます。これをスイッチコントロールのハイライトメニューから呼び出すことができます。声が出せない人でも、スイッチコントロールを使えば音声で呼び出さなくても使えるという点が魅力です。
 ショートカットの作成は新たにAppleから提供される「ショートカット」というアプリで作ったり、アプリが対応しているとショートカットを登録して使うことになります。また、AppleのWorkflowというアプリを使ってショートカットを作成することができます。Workflowは、定型作業の自動化を行うためのアプリです。例えば、毎朝決まった相手にメッセージを送るとか、お気に入りの音楽をボリュームを小さめで再生するといったことを簡単にできるようになります。それをスイッチコントロールからも呼び出せるというのは画期的な仕組みと言えます。

 

指伝話アプリと iOS 12 の関係

スイッチコントロールでの操作
 スイッチコントロールのポイントモードに追加されたシングルモードは、指伝話アプリをスイッチ操作で使っていた人に、新しい使い方の選択肢を提供することになると考えています。特に、意思伝達のためのコミュニケーションツールとして1スイッチでお使いの方は、従来は項目モードで自動ハイライトか単一スイッチステップハイライトをお使いの方が多かったと思いますが、今後はポイントモードでの利用を実用的な選択肢として考えられると思います。

 
指伝話メモリ
 指伝話メモリで作成したカードを選択する場合、このシングルモードでの操作で多少場所がずれた選択であっても、目的と違うカードを選択する可能性はとても低いです。従来項目モードを使っていた方も、ポイントモードでの利用にすることが一つの選択肢になると思います。
 また、新しい機能を追加したバージョン1.2のリリースを予定しています。

指伝話文字盤
 指伝話文字盤は、独自のスキャン機能があるので、指伝話文字盤だけをスイッチ操作で使う場合には、スイッチコントロールを使わずにスイッチ操作することが可能でした。スイッチコントロールを使わない分、操作がシンプルになる魅力があります。
 一方、他のアプリを使いたいとなった場合は、スイッチコントロールを使うことになります。もしスイッチコントロールで自動ハイライトを使っていると、指伝話文字盤の独自の自動スキャン機能は使うことができません。その場合、従来はレシピを利用する方法が有効でした。今後は、指伝話文字盤のスキャンを手動にしておき、スイッチコントロールのポイントモードを使うという選択肢も考えられます。

指伝話ぽっぽ
 iOS 11.3以降での動作ができない状態でしたが、一旦今後のバージョンアップを停止することにしました。Appleのガイドラインに沿って新たなアプリの開発を計画します。便利に使っていただいていた方には申し訳ありません。

指伝話ボード・指伝話ボードプラス
 iOS 11で発生していた問題はiOS 12では発生せず、アプリの利用は可能です。ただし、今後の積極的な開発継続は行う予定はなく、現状の状態での提供となります。ご了承ください。

指伝話RT
 指伝話メモリで作成した絵カードのサンプルを無料で試していただくことができる新しいアプリです。是非お試しください。この発売に伴い、YM Viewerは提供を中止しました。

 

スイッチコントロールの新機能

1)スイッチコントロールのポイントハイライトの「シングル」
 従来は、高精度ポインタのオン・オフだけでしたが、シングル・微調整・正確の3種類から選択するようになりました。

 
2)スイッチコントロールのハイライトメニュー項目「ショートカット」
 スイッチコントロールのハイライトメニューの最上位レベルに「ショートカット」が追加されました。Siriのショートカットをハイライトメニューから選択できるようになります。

3)スイッチコントロールのハイライトメニュー項目「Split View」
 スイッチコントロールのハイライトメニューの「最上位レベル」にあった「サイドApp」は「Split View」に名称が変更になりました。

4)スイッチコントロールのハイライトメニュー項目「Appスイッチャー」
 スイッチコントロールのハイライトメニューの「デバイス」の「マルチタスク」は「Appスイッチャー」に変更されました。

5)スイッチコントロールのハイライトメニュー項目「消音」
 スイッチコントロールのハイライトメニューの「デバイス」に「消音」が追加されました。

6)スイッチコントロールのハイライトメニュー項目「速度を上げる/下げる」
 スイッチコントロールのハイライトメニューの「設定」に「速度を上げる/下げる」が追加されました。

7)タッチ調整の「スワイプジェスチャ」
 タッチ調整で保持継続時間を使用する際、スワイプジェスチャの設定をオンにすると、指定した時間を待たずにスワイプジェスチャを実行することができます。

8)視覚サポートの「透明度を下げる」
 アクセシビリティの視覚サポートに「透明度を下げる」の項目が追加されました。これは以前「コントラストを上げる」の項目にあった「色を濃くする」の設定です。名称が変わり上位の階層で表示されるようになりました。

9)聴覚サポートの「補聴器の互換性」
 アクセシビリティの聴覚サポートに「補聴器の互換性」の項目が追加されました。この変更内容については詳細を把握していません。

 

1.スイッチコントロールのポイントハイライトの「シングル」

説明
 ポイントモードで、タップする位置を指定する際、従来は標準と高精細の2つのモードがありました。新しい方法では、モードが3つになりました(図1-1)。
 3つのモードは、「シングル」「微調整」「正確」です(図1-2)。微調整は従来の標準モード、正確は従来の高精細モードです。新しく増えたのはシングルモードです。
 シングルモードでは、縦横それぞれ1回ずつのスイッチ操作だけでポイントする場所を指定することができるようになります。タップ数が激減することで、ポイントハイライトが格段に使いやすくなります。
 微調整では、横の位置と縦の位置をそれぞれ2回スイッチを押して指定します。正確の場合は、それぞれ3回スイッチを押して指定します。




解説
 シングルモードでは、画面上の任意の位置のタップを2回のスイッチ操作でできるようになります。微調整(従来の標準)モードでは最低4回、正確(従来の高精細)モードでは最低6回のタップが必要でした。
 細かい場所を指定するには、微調整・正確モードは重宝しますが、五十音表から1文字選択したり、1画面に9枚表示された絵カードを選択するような場合には、スイッチの押し損ねによる場所の間違いが起こることは少ないので、細かい画面でなければスイッチの操作回数が格段に減ることは大きな魅力です。
 従来は、ポイントモードか項目モードか、どちらかを好みで使うという感じでしたが、ポイントモードと項目モードの切り替えはハイライトメニューでも可能ですので、普段は項目モードで使い、文字入力の時だけポイントモードに切り替えるという方もでてくるでしょう。
 非常に地味な改訂ではありますが、スイッチコントロールの使い方を大きく変えるほどの改訂だと言えます。

画面
 シングルモードでは、縦横それぞれ1回ずつのスイッチ操作、合計2回でポイントする場所を指定することができます(図1-3)。




 

2)スイッチコントロールのハイライトメニュー項目「ショートカット」

説明
 スイッチコントロールのハイライトメニューの最上位レベルに「ショートカット」が追加されました。これにより、iOS 12の新機能の Siriショートカットを、スイッチコントロールのハイライトメニューから呼び出すことができるようになります(図2)。



解説
 Siriショートカットは、「設定 > Siriと検索」で表示されるショートカット候補をもとに登録することができます。今後Appleから提供される「ショートカット」アプリで作成することができるようになるでしょう。
 ショートカットを登録するには、例えばMessageを送った後にSiriと検索を開くと、その操作がショートカット候補として登録されています。ショートカットとして登録する際に、そこにSiriに呼びかける際のフレーズを登録します。そのフレーズでSiriを呼び出すのですが、それをスイッチコントロールのハイライトメニューから呼び出せるようになる、それがスイッチコントロールユーザにとっては魅力的です。
 さらに、どのアプリケーションを使用している時でも、そのショートカットが呼び出せるのが魅力です。一度ホーム画面に戻って操作するのではなく、例えば上記の例であればウェブを閲覧中にショートカットからメッセージを送る操作ができます。
 そしてさらに、Apple社が提供するWorkflowアプリで作成したWorkflowのファイルを呼び出すことができますので、様々な処理を自動化した設定をハイライトメニューから呼びだせる機能によって、スイッチコントロールユーザは処理操作のステップを大幅に減らすことが可能になります。

補足
 iOS 12以前でも、ハイライトメニューのデバイスの中に「ショートカット」があります。これは英語名では「Accesibility Shortcut」です。今回追加された最上位レベルにある「ショートカット」の英語名は「Shortcuts」です。どちらも日本語訳が「ショートカット」となっているため、見間違えてしまいますが、これはすぐにマイナーアップデートで改訂されると思います。

 

3)スイッチコントロールのハイライトメニュー項目「Split View」

説明
 スイッチコントロールのハイライトメニューの最上位レベルの「サイドApp」は、
「Split View」と名称が変更になりました。メニュー項目の設定での表示はこの名称ですが、実際にハイライトメニューに表示される場合は、次のような名称変更となっています(図3)。機能的には変わりはありません。



 

4)スイッチコントロールのハイライトメニュー項目「Appスイッチャー」

説明
 スイッチコントロールのハイライトメニューの「デバイス」の「マルチタスク」は、
「Appスイッチャー」と名称が変更になりました。メニュー項目のデバイスでの表示と、実際にハイライトメニューでの表示は、次のようなります(図4)。機能的には変わりはありません。



 

5)スイッチコントロールのハイライトメニュー項目「消音」

説明
 スイッチコントロールのハイライトメニューの「デバイス」に「消音」が追加されました
(図5)。



 

6)スイッチコントロールのハイライトメニュー項目「速度を上げる/下げる」

説明
 スイッチコントロールのハイライトメニューの「設定」に「速度を上げる/下げる」が追加
されました(図6)。
 項目モードの自動ハイライトの場合の「自動ハイライトの時間」を変更することができます。速度を下げると、自動ハイライトの時間の値は増加し、項目間移動の時間が長くなり速度が低下します。ポイントモードのグライドカーソルの速度はここでは変えられません。ポイントモードの場合でもハイライトメニューの項目選択時はメニューの中は項目モードになりますが、その速度が変わることになります。



以下の3つの項目は、スイッチコントロールの機能ではないですが、関連するアクセシビリティの機能として説明を加えます。

 

7)タッチ調整の「スワイプジェスチャ」

説明
 タッチ調整で保持継続時間を使用する際、スワイプジェスチャの設定をオンにすると(図7-1)、指定した時間を待たずにスワイプジェスチャを実行することができます。
 保持継続時間をオンにすると、画面をタッチしてからそれがタッチと認識されるまでの時間を指定することができます。画面を意図せずタップした時に反応させず、一定時間タップすることで意図したタップしか受け付けないための設定です。パーキンソン病など、手の震えのある方に有効と考えられている設定の一つです。
 しかし、画面のスワイプをする時にはこの制限があると不便になります。タップと認識するまでの時間を、スワイプ開始の場所で押し続けて待たなければなりません。そこで今回の「スワイプジェスチャ」のオプションが登場しました。このオプションをオンにすることで、タップ操作は従来通り一定時間までタップと認識されないまま、スワイプ操作に関しては保持継続時間に関係なく操作できるようになります。
 スワイプするには指を短く動かしますが、意図せずスワイプが始まらないように、スワイプだと認識させるための指の移動距離の設定を行うことができます。標準の他、2倍〜8倍の距離を必要とする設定を行うことができます。
 タッチ調整で保持継続時間を使用した場合のスワイプ操作のしやすさが格段の向上します。




 

8)視覚サポートの「透明度を下げる」

説明
 アクセシビリティの視覚サポートに「透明度を下げる」の項目が追加されました。これは以前「コントラストを上げる」の項目にあった「色を濃くする」の設定です。名称が変わり上位の階層で表示されるようになりました。
 この設定は、コントロールセンターの表示などをした時に違いがよくわかります(図8)。



 

9)聴覚サポートの「補聴器の互換性」

説明
 アクセシビリティの聴覚サポートに「補聴器の互換性」の項目が追加されました。この変更内容については詳細を把握していません。