(2020年1月)


PDF版はこちら


はじめに

 指伝話メモリをきっかけにiPadを使い始めた方々から、日常生活をより便利にするためにiPadを活用する方法のご質問を多くいただきます。
 以前は「環境制御装置」と呼ばれ、病気や障害で身体が自由に動かせない方が使うための特別な装置がありましたが、いまではスマート家電と呼ばれ、家電量販店やネットショップで誰もが気軽に購入して使える製品が多く発売されています。
 ここ数年でそれらもどんどん新しく便利になり、個々の製品の設定も簡単になるよう工夫が重ねられています。この説明書を執筆した翌日にはもっと便利なものが発売されているかもしれませんので、ここでは個々の設定方法の説明ではなく、仕組みの理解や考え方についての説明をします。最新情報はインターネットで検索してご確認ください。
 特に指伝話メモリとともに使わなければならないということではありませんし、iPadではなくパソコンでも同じことができるものもたくさんあります。iPadがいいかパソコンがいいかといったことは、お使いになる方が何をしたいか、これまでどのような環境をお使いになっていたかなど、個人の好き好きを含め、様々な要因で決まることですし、それぞれ一長一短がありますからここでの主題ではありません。
 まずは、iPadを使った例を見て「そんな便利なことができるようになったのか!」ということを知っていただきたいと思います。
 そして、実は指伝話メモリはそういった機器との連携をして使うことが想定されているので、その部分も知っていただくと、より便利な使い方を楽しんでいただけると思います。


電車でみんなiPhoneの画面を見ている

 電車やバスに乗ると、そこにいる全員が手元のiPhoneの画面を見ているといった光景に出会うことがあります。「昔はこんなことはなかった。本を読んだり、単語帳でテスト勉強したり、手紙を書いたり、写真を撮ったり、旅行のガイドブックを見てワクワクしたりしていた。」と思うかもしれません。でも実は、以前と同じなんです。iPhoneで同じことをしているのです。
 以前は、身体が自由に動かない方が本を読むための自動ページめくり機がありました。新聞を読むためにパソコンをスイッチで操作し、ニュースサイトを開き、記事を選択してスクロールしていました。部屋の電気をつけたり消したりするために紐で操作したり、棒を使って操作したり、様々な工夫をしました。声を出すことができない方がことばで伝えるために五十音表から文字を選んで伝える機械がありました。
 これまで様々な道具を使ってしてきたことが、いまはiPhone/iPadでできるようになりました。さまざまな機器を作り、さまざまな操作を覚えてやってきたことが、iPadを使う、ということに集約されました。何もかもができる魔法の杖ではありませんが、確実にできることを増やして生活の質を上げてくれる便利な道具だと思います。


いまどきの家電操作

家電製品の操作をアプリで行う

 テレビのリモコン、エアコンのリモコン、電灯のリモコンなど、リモコンが付属している家電製品が多くあります。最近の家電製品はリモコンでの代わりに、iPhone/iPadやスマートフォンのアプリで操作するものが増えてきました。
 家電製品を買うたびにリモコンが増え、どれがどれだかわからなくなってしまいますね。リモコンがiPhone/iPad1つにまとまるのは便利です。リモコンの置き場所は忘れてもiPhoneはたいてい手元にありすぐ見つけられます。


 しかし、メーカーが専用のアプリを提供しているのであればiPhoneの中にアプリがいくつも並ぶことになり、どれがどれだかわからなくなる問題は同じままということになります。
 そこで登場したのが スマートリモコン と呼ばれるものです。

スマートリモコン

 家電製品のメーカーがアプリを提供していない場合もあります。その場合でも赤外線リモコンが付いているものであれば、iPadを通して赤外線操作できるようにする スマートリモコン と呼ばれる製品が各社から発売されています。
 最初に一度、スマートリモコンにそれぞれの家電のリモコンの内容を覚えさるために、リモコンの信号をスマートリモコンに当てます。その後はiPhone/iPadがリモコン代わりとなり、アプリを操作するとスマートリモコンから赤外線信号がでて家電を操作することができるようになります。
 スマートリモコンによっては、主なメーカーの機種を識別して、リモコンそっくりの操作画面を用意してくれることもあります。

代表的なスマートリモコン

Nature Remo(ネイチャーリモ)
https://nature.global

eRemote(イーリモート)
https://linkjapan.co.jp/product/eremote-series/

赤外線リモコンではない家電

 家電の中には、専用機器を使って操作を制御するものもあります。
 フィリップス社のHueという電球は、Hueブリッジと呼ばれる専用機器を使いZigBeeという近距離無線の仕組みを使って、iPhone/iPadの専用アプリを使って操作することができます。
 パナソニック社のLINK STYLE LEDという照明器具は、Bluetooth経由でiPhone/iPadの専用アプリを使って操作することができます。
 このように、メーカーが専用の仕組みを提供し、iPhone/iPadから操作できるようにしている製品も多く発売されるようになりました。

スマートスピーカー

 テレビの宣伝で「OK Google、今日の天気は?」「アレクサ、電気をつけて?」などと、小さなスピーカーに話しかけると音声で答えているのをご覧になった方も多いと思います。
 ここ数年、話しかけると応えてくれるスマートスピーカーの進化は著しく、単に天気やニュースを音声で知らせてくれるだけでなく、スマートリモコンと連動し、音声で話しかけるとリモコン操作ができるようになってきました。「OK Google、電気をつけて?」「アレクサ、テレビを4チャンネルに変えて?」といったように話しかけて家電を操作することができます。

代表的なスマートスピーカー

Amazon Alexa(アマゾン・アレクサ)
https://www.amazon.co.jp/

Google Home(グーグル・ホーム)
https://store.google.com/jp/product/google_home

話しかけて家電を操作

 スマートスピーカーと家電やスマートリモコンは、それぞれ別な企業が作った製品ですが、連携させて一緒に使うことでより便利になります。
 主な連携の方法は3つあります。
 1つ目は、家電機器がスマートスピーカーに対応している場合です。「Google Home対応」「Amazon Alexa対応」といった家電です。スマートスピーカーのアプリで、対応している家電を登録すると、スマートスピーカーに話しかけて家電を操作できるようになります。対応する家電は増えており、新しく発売される家電の多くはスマートスピーカーによる操作に対応したものになってきています。
 2つ目は、スマートスピーカーとスマートリモコンとを連動させることによって、家電を音声で操作できるようになります。家電がスマートスピーカーに対応していなくても、スマートリモコンを通して音声で操作できるようになります。
 3つ目は、音声で操作することを前提に作られた家電を使う方法です。例えばアイリスオーヤマ社の音声操作シーリングライトは、スマートスピーカーなどを経由せず、直接ライトに話しかけて操作することができるようになっています。

コンセントを操作

 スマートプラグ・スマートコンセントと呼ばれる製品があります。壁のコンセントにそれをつけ、家電のコンセントを電源はオンにしたままの状態で接続します。
 スマートプラグのオン・オフを、iPhone/iPadの専用アプリで操作することで、家電のオン・オフを制御することができるようになります。
 このスマートプラグ・スマートコンセントが、スマートスピーカーに対応したものであれば、話しかけて操作することができるようになり、ひいては家電のオン・オフを声で制御するということになります。

物理的な動きを操作

 物理的にスイッチを押す操作を、iPhone/iPadの専用アプリから行うことができる機器も発売されています。

 マイクロボットプッシュ https://microbot.is/ja/push/

 SwitchBotプラグ https://www.switchbot.jp

Siriとショートカットの利用

 iOS 12から、Appleのアプリ「ショートカット」がiPhone/iPadで使えるようになりました。ショートカットに対応したアプリの場合、Siriがアプリの使用状況を学習してアプリに関するさまざまな提案をしてきます。アプリの操作をショートカットに記録し、複数の操作を1回の指示で行うことができるようになります。
 このショートカットをSiriで呼び出すことができるようになります。
 例えば、Nature RemoはSiriショートカットに対応しています。iPhone/iPadでNature Remoの操作をした場合、それをショートカットとして登録できるようになります。そしてそのショートカットを「Hey Siri」と呼びかけて実行することができるようになります。
 また、iOS/iPadOSに標準の「ホーム」アプリは、ショートカットに対応しています。これらの機能を使って、家電の操作を専用アプリの操作だけではなく、さまざまな方法で行うことができる仕組みがあります。
 ショートカットを使えば、メッセージを送る、メールを送る、電話をかける、音楽をかける・止めるといった操作も、個々のアプリを直接操作するのではなく、ショートカットを選択するだけで実行することができるようになります。

その他の便利な仕組み

 スマートキーは、ドアの鍵をiPhone/iPadから制御するものです。家に来た相手がわかっているなら、玄関まででていかずに鍵を開けることができます。家にいなくても外出先であっても可能です。
 インターホンの映像もiPad上で確認できます。これも家にいなくても外出先であっても可能です。
 本や雑誌はiPadで読むことができますし、読まずに聞くこともできます。音楽や映画を見るのはCDやDVDを入れ替えることなく、iPadの画面で操作するだけで楽しむことができます。
 カーテンを開けたり閉めたり、部屋の掃除をしたりも、iPadで操作することができます。
 さまざまなことがiPadの画面の中に集約されています。場所を取らず、いつでも手元にあり、簡単な操作で、できることが増える、これがICTによる生活の質の向上です。
 これまで人に頼ってきたことが自分一人でできるようになる、そういう見方もあると思いますが、むしろ、不便の解消や時間がかかってきたことの解消ができ、その分より多く人と関われる時間が持てるようになると考えて欲しいと私たちは思っています。


指伝話メモリの活用

音声で家電を操作

 指伝話メモリは合成音声で話しをしますが、流暢な合成音声は、スマートスピーカーにもよく認識されます。つまり、指伝話メモリでカードを選択して合成音声でスマートスピーカーに話しかけ、家電を制御するということができます。

ショートカットを呼び出して操作

 指伝話メモリは、カードを選択した時に、合成音声で伝えるだけでなく、登録してあるショートカットを呼び出して実行することができます。
 つまり、ショートカットでできることは、指伝話メモリでカードを選択して実行することができることになります。
 ショートカットの呼び出し方については「指伝話メモリ1-2-3! アプリを呼び出そう編」をご参照ください。

することは1つ、できることはたくさん

 指伝話メモリで作成したカードは、最大16枚、最小1枚をiPadの画面に表示します。つまり、指でタップする、スイッチコントロールでの操作、マウスでの操作、いずれの場合でも難しい操作ではありません。
 さまざまなアプリを使って操作するのではなく、画面の中の小さな場所をタップする操作でもなく、指伝話メモリは最大で16枚のカードの中から1枚を選ぶという操作だけです。カードの選択は、単に音声で用事を伝えるだけではなく、家電操作、メッセージやメール、学習や娯楽までさまざまなことにつながります。簡単な操作で広がる生活の幅、これが指伝話メモリ活用の良いところです。