指伝話は当初、満員電車の中で声を出さずに電話をしたくて開発したものでした。それがたまたま喉頭癌で声を失った方に使っていただいたことをきっかけに、いまでは、失語症、構音障害、ALS、パーキンソン病の方など、さまざまな方に使っていただくようになりました。その一方で、ミュージシャン、ビジネスマン、学校や言語教室など、多様なシーンで使われています。

「指伝話は誰を対象にしていますか?」「何ができますか?」と聞かれることがあります。そんな時はいつも「使い方はあなた次第です!」と答えます。使い方を私たちが決めつけてはいけない と考えています。指伝話は生きていく上での基本であるコミュニケーションのアプリです。コミュニケーションはすべての方に関わることであり、その方法はさまざまです。
だからこそ、誰もが自分の目的に合わせて自由に楽しみながら使える「アプリの余白」を大切にしています。使い方次第で、さまざまな場面で、いろいろな目的に使うことができます。人生と同じ、決めつけてはいけない。どんな展開があるかワクワクする。指伝話もそうありたいと思っています。
指伝話は障害者や病気の方の専用製品ではありません。たまたま障害のある人も使っています。これは「たまたま障害のある人」なのか「たまたま使っている」のかどちらでしょうか。私はそのどちらでもあると考えています。今日は元気でも明日病気になるかもしれない、今夜交通事故で障害を負うかもしれない。誰も違いはないのです。そして、障害は不便なことではあるかもしれないけれど決して不幸ではない。ICTの力で不便さが解消されるなら素晴らしいことだと考えています。誰もが今ある自分の姿を普通の状態として、普通に格好良く生きられるのが理想です。

コミュニケーションが始まれば笑顔が生まれます。これまで自分の思いを伝えられなかった人が話をすることで、これまで相手の思いを汲み取れなかった人との意思の疎通が図れるかもしれません。話しをすれば相手のことを理解したくなります。心を開き相手を知れば差別や偏見がなくなります。
「人と人とを笑顔で結ぶ」こと、それが、指伝話の役割 と考えています。

代表取締役 高橋宜盟