世界につながるスイッチ

川田晃夫くん 中学部2年
周りを笑顔で巻き込む元気少年がiPadという新しい道具を手にして


使い慣れている小さなスイッチでiPadを操作

 

 このLINEのやりとりは、男の子とお母さんの普通のやりとりです。
あぁ男の子ってそうだよなって思える会話ですね。
 男の子は川田くん。先天性ミオパチーという病気の影響で、人工呼吸器をつけ、学校では車椅子に乗っています。普段はお母さんがそばにいてくれますが、お母さんは買い物や銀行に出かける時に川田くんのそばを離れなくてはなりません。そんな時自分で連絡が取れるようにしようと、iPadを使うことになりました。


お母さんとのLINEのやりとり
スイッチでの操作とは思えないくらいにスムーズな会話

 

 FaceTimeというテレビ電話の仕組みを使って、お母さんと連絡を取る方法を最初に覚えました。左手を動かして手に挟んだスイッチをカチカチと押してiPadを操作します。
画面をタップしなくてもiPadを使うことができます。最初は戸惑った操作は、5分も練習したら自由に使えるようになりました。画面を見ながらの会話だと、お母さんがカメラに向かって品物を見せて「どっちがいい?」と聞くこともできます。いまでは、文字入力も自由にできるようになったので、LINEでのメッセージが増えました。
 川田くんもそろそろ思春期。いつもお母さんと一緒という訳にもいきません。iPadが川田くんの行動範囲を世界に広げることでしょう。

 

 

iPadで意思を伝える

片山 煌世(こうせい)くん 小学部2年
先生と作った教材をiPadで活用、タップで伝える「やりたいこと」


画面タップはお手の物です !

 

 きらきらした瞳でいつもやる気いっぱいの小学2年生こうせいくん。弱視と指の欠損、構音障害を感じさせない、彼の身体から発するワクワク感が、周りの空気を優しく包んでくれるようです。
 その日の学習の順番を選ぶことや、トイレやお茶を飲みたいなど、自分の意思を、先生と一緒に作ったカードを指差して伝えています。こうせいくんののびる力をさらに広げるために、手作りカードと併用してiPadの活用をすすめることになりました。 今あるカードをiPad で写真に撮って、指伝話メモリにいれます。読み上げることばを入力し、写真と一緒に表示する文字も入れることで、タップしたら絵と文字と音声で伝えることができます。iPad の操作は指一本でできるので、紙のカードを扱うより簡単に操作ができます。こうせいくんも iPad は大好き! スイスイとスワイプし、自分の使いたいアプリをさっさと見つけて使おうとするそうです。もちろんすべてをiPadにおきかえるのではなく、学校ではねらいにあわせてそれぞれの持ち味を生かした活用をすすめられています。
 先生は「ひとりで買物に行ったときに、これくださいって言うのに使えたらいい」と学習面から、生活面へのiPadの活用を視野にいれ、コミュニケーション手段としての指伝話に期待を寄せています。学びが生活につながる、まさに“生きる力”を身につけてほしいという願いです。 学校だけでなく自宅でも使えるよう、先生みずから市町村の担当窓口に働きかけ、「日常生活用具*」としての有用性を伝えてくださっているそうです。

 
*日常生活用具:厚生労働省の「日常生活用具給付等事業」という市町村が行う地域生活支援事業の一つとして障害者等の日常生活がより円滑に行われるための用具を給付又は貸与することにより福祉の増進に資することを目的とした制度があります。この制度を利用することにより、指伝話KiT2ご購入の際にお住まいの市町村から補助金が給付される場合があります。


すでにある素材を活用すれば導入も簡単!

 

 

 

 指伝話スイッチニと指伝話ぽっちは、iPad を指で直接タップするかわりに、スイッチを使って操作するための接続デバイスです。
 標準の3.5ピンミニプラグのスイッチを、指伝話スイッチニや指伝話ぽっちにつなぎ、無線(Bluetooth)でiPad や iPhone と接続します。無線だからケーブルが邪魔になりません。 最近のiPad や iPhoneには Bluetooth の通信機能と「スイッチコントロール」というアクセシビリティ機能が標準で備わっていますから、他に必要なものはありません。画面をタップしなくても接続したスイッチを使って操作ができるようになります。


スイッチで緑の枠を動かして操作

 画面に表示される緑(※1)の枠の場所を動かし、タップやスワイプの操作を一覧から選んで実行します。1つのスイッチだけで操作したい場合は、緑の枠を自動で動くようにしておきタップしたいところでボタンを押します。もしくは自分でスイッチを押して緑の枠を動かし、タップしたいところでボタンを長押しするか、別なボタンを押してタップの操作をすることができます。
 「ホームボタンを押す」「音量を上げる」「画面を2本指で上にスワイプ」という操作も、スイッチだけで行うことができます。
 スイッチは、ボタン式、棒状のもの、息を使うもの、肌の少しの触れ、口もとの動き、目で見る方向、筋肉の動き(筋電)など、さまざまなものが各社から発売されていますからそれを使ってiPadを操作できます。
 足で緑の枠を動かし、頷く顎でボタンにタッチして動作を選択、といった複数のスイッチを組み合わせての利用も可能です。
 指伝話スイッチニは携帯用に、指伝話ぽっちは据置用に適しています。複数のスイッチを使うなら6つまで接続できる指伝話ぽっちが向いています。
 iPhone や iPad の多くのアプリは、スイッチコントロールに対応しているので、たいていのアプリを使うことができます。指伝話、指伝話メモリ もスイッチで使うことができます。
※1 枠の色は変更できます。

 

指伝話とホットケーキ

高橋宜盟   有限会社オフィス結アジア 代表取締役

 

 「小麦粉、卵、牛乳といえば?」と問えば、「ホットケーキ!」と元気な声で返事があります。子どもの頃、母が朝食にクレープを作ってくれました。バターたっぷりの味はいまでも覚えています。大人になってからは娘たちのためにワッフルメーカーを買いました。

 

 

あるものを使って作るアイデア
 小麦粉、卵、牛乳。どれも昔からある材料です。ホットケーキ、ワッフル、クレープ。いろんなものを作ることができます。一つ一つの材料はみんなが知っているものだけど、それを合わせると笑顔が生まれるものに変わる。
まさにそれが指伝話の考えです。

できたものを使う工夫
 ホットケーキを作って、バターとハチミツで食べよう。ホイップクリームと苺を添えよう。
チョコレートをかけよう。もう毎日ホットケーキだっていいくらい。指伝話で自分の声の代わりをしたり、英語の発音練習に使ったり、文章の校正に使ったり。指伝話はいろんな用途に使って楽しめます。

適した使い方を示すコーディネーション
 ホットケーキは冷めると美味しくないのでお弁当には向かないけどワッフルは大丈夫。忙しい朝にはクレープの方がいい。失語症の方には一般的には50音表(指伝話50)や文字表示(指伝話プラス)は向いてなくて、絵や写真(指伝話メモリ)の方が理解がし易い。画面がタップしにくい場合はスイッチを使おう(指伝話ハートウェア)。適した使い方を見つけるのも指伝話の仕事です。

専門知識を入れた工夫
 小麦粉アレルギーがあるから、そば粉で作ろう。卵は使えないからヨーグルトを入れよう。その道のプロに相談して問題を解決する方法を探すのも指伝話は同じです。言語聴覚士など専門家と常に協議しながら新しい製品作りを行っています。

誰もが簡単に楽しめるように
 粉はふるっておかないと混ぜる時にダマになるし、混ぜすぎると粘りがでて膨らまなくなる、難し過ぎるとホットケーキを作る楽しみがなくなってしまいます。ホットケーキミックスは、誰もが手軽にホットケーキを作ることができるようにした魔法の粉ですね。
 ホットケーキを作る楽しみ、トッピングを考える楽しみ、一口食べた時の喜び。状況に応じてワッフルにしたりクレープを作る臨機応変さとそれを一緒に喜んで食べる時の笑顔。
誰もが手軽に楽しめるホットケーキミックスは指伝話が目指す姿に重なります。
 そして、料理に使ったり酒の肴を作ったり、私たちが考えてなかった使い方をしていただくこと、それがスタッフの喜びでもあります。

 最先端の技術ではないけれど、最前線の技術。いまある技術(あるテク)を使って笑顔を生み出す指伝話。是非ご一緒に楽しんでいただけますように。

 

指伝話 Yubidenwa は、日本および他の国々で登録された有限会社オフィス結アジアの登録商標です。Apple、Appleのロゴ、iPhone、iPad は、米国および他の国々で登録されたApple Inc.の商標です。記載されたその他の製品名、及び企業名は、各社の商標です。 誌面に記載されている製品の仕様等は、予告なく変更になる場合がございます。予めご了承ください。 (YJ1607-001)